ライブコマース導入を検討している、または導入してみたものの「ライブコマースは日本では流行らない」という話を聞いたり、そう感じたりしている担当者様方もいるかもしれません。
ライブコマースは、中国のような先進国と比べると日本ではまだ発展途上です。一部では「日本では流行らない」との声もありますが、やってみる前に取り組みの選択肢から外してしまうのはもったいないかもしれません。実際に、ライブコマースでよい成果を出している日本の企業も存在します。
日本でライブコマースをしている企業の中には、活用の仕方が間違っているケースも少なくありません。
この記事では、中国と日本のライブコマースの違い、日本で流行りにくい理由、そして成功へのヒントを掘り下げていきます。日本特有の市場環境を理解し効果的な戦略を立てることが、日本でのライブコマース成功の鍵です。
記事の後半では日本市場におけるライブコマースの活用法や成功事例も紹介するので参考にしてください。
Contents
ライブコマースの先進国である中国の現状
中国のライブコマース市場は世界最大級で、その普及率と成功事例から学べることが多いです。まずは、ライブコマース先進国である中国の現状を下記の3つの視点から説明します。
- 中国のライブコマース普及状況
- 中国でライブコマースが人気の理由
- 日本にはない中国のライブコマースの魅力
中国のライブコマース普及状況
2020年中国のEC市場規模は約2兆2,970億ドルに達し、電子商取引の小売売上は前年比10.6%増加して約188兆円となりました。これは、小売総売上の約30%を占めます。2021年にはさらに21%増が見込まれています。
米国でもライブコマースが普及し始め、2023年末には約3倍の317億ドルになると推測されていて、この金額は日本円にすると約4.7兆円相当です。
出典:China’s live commerce opportunity insight report 2023
出典:10 Key Trends Shaping Livestreaming E-Commerce in 2023
米国のライブコマース市場(4.7兆円)は決して小さくありません。しかし、上記のグラフを見てわかるとおり、中国のライブコマースの普及度はその20倍以上で飛びぬけて高い傾向にあります。
次に、ライブコマースでサービスや商品を購入した経験のある人を国別で調べた結果が下記の表です。
出典:THE FUTURE SHOPPER REPORT 2023
上記のグラフを見ると中国では実に81%もの人がライブコマースを経験しているのに対し、日本では15%とライブコマース自体の普及が遅れていることが明らかです。
▼詳細なデータや中国のライブコマースに関する更なる情報は、下記の記事でも詳しく紹介しています。
【2022年最新事情】ライブコマース先進国・中国における市場規模や現状を徹底解説
中国でライブコマースが人気の理由
中国でライブコマースがこれほど人気なのには明確な理由があります。
大きな理由は下記の4つです。
|
日本ではインターネットでモノを購入しても商品の質が安定していて、不良品や使えないものが送られてくることはほとんどありません。仮に不良品だとしても販売店が納得できるような対応をしてくれます。
一方、中国ではなかなかそうは行かず泣き寝入りになることも多いため、KOL(またはコマーサー)が「この商品は安心です」「偽物ではない」と保証してくれることに大きな価値があるわけです。
また、中国のライブコマースでは「限定」や「割引」など大きな付加価値が付くことが多く、ライブコマースでモノを買うことにお得感を感じる人がたくさんいます。
日本にはない中国のライブコマースの魅力
中国のライブコマースは今の日本市場にはない魅力を持っています。
まずは価格の面で、中国ではライブコマースが第一選択になるほど魅力的です。公式ECや店頭価格よりもライブコマースで購入する方が格段に安く多くの視聴者が集まるため、企業にとっては値引き分を差し引いてもなお余りあるPRの場となっています。
このような事情から、中国企業の多くはライブコマースの効果を高く評価しており、集客のために思い切った価格設定など積極的な企業努力を惜しまない姿勢をとっています。
日本のライブコマース市場
2023年時点で、日本のライブコマース市場規模は約3,000億円弱と想定されます。
出典:「ライブコマース」に関する調査結果|NTTコム リサーチ
NTTコムリサーチの調査によれば、「ライブコマース」認知者は31.9%、うち視聴経験者は3.9%です。そのなかでライブコマースの経験者は全体の2.1%にとどまります。つまり市場はまだ発展途上で、成長の余地が大きいといえます。
もう1つの日本のライブコマース市場の特徴として「売上額が不明確」があげられます。
中国ではKOLへの支払いが売上に応じて変わることが多いため、1回ごとの売り上げ額を明確にする必要があります。一方、日本ではそのような「ライブコマース中の売り上げ」だけを集計したデータがなく、そもそもライブコマースの市場規模に関して不明確な面も少なくありません。
▼ライブコマース市場の課題と今後の展望についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
日本でのライブコマースの市場規模と今後の展望
ライブコマースが日本で流行りにくい2つの原因
あらためて、日本のライブコマースが中国ほど爆発的に流行らない2つの原因を紹介します。
- 中国のKOLのように「売ること」に特化した出演者が不足している
- 導入当初は効果を実感できない企業が多く、ライブコマース用プラットフォームの撤退が続いた
中国のKOLのように売れる出演者が不足している
日本では、まだまだ中国のように「売る」ことに特化した出演者が不足しているのが現状です。
知名度のあるタレントやインフルエンサーなど有名人をKOLとして起用する企業も多いですが、タレントやインフルエンサーは必ずしも「モノを売ることに特化した出演者」ではありません。
ここで知っておきたいのが、ライブコマースの出演者の種類です。大きく分けると下記の4種類になります。
|
各出演者がどんな配信に向いているかはそれぞれ異なるため、それぞれの特性を理解してアサインし、貴社の目指す方向性に見合ったキャスティングを行うことで、より顧客の満足度が向上し売上の増加も期待できます。
しかし日本ではまだ「ライブコマーサー」にあたる人材がほとんどいないことも課題の1つとなっています。
▼それぞれの出演者の違いや選び方については下記の記事でもさらに詳しく紹介していますので、ぜひお読みください。
ライブコマースに出演する「コマーサー」「KOL」「インフルエンサー」の違いとは
効果を実感できない企業が多く、 ライブコマース用プラットフォームの撤退が続いた
過去、ライブコマースが日本に入ってきた時期に、サービスを開始したもののすぐに終了してしまったプラットフォームが多いことも、ライブコマースが日本で流行りにくいと思われている原因の1つです。
例えば、メルカリチャンネルは2017年7月にサービス提供開始したものの、2019年7月に終了。ほかにも、「BASEライブ」や「Yahoo!ショッピングLIVE」「Rakuten Live」が次々に撤退しました。
しかしそれに替わって気軽に利用できるライブコマース配信アプリやプラットフォームが増えつつあります。インスタグラムやYoutubeLIVEなど、SNSのアカウント・商品・スマホがあれば、すぐにでもライブ配信が始められる「SNS型」が手軽で人気です。
▼下記の記事では、今すぐ始められる配信アプリやツール、プラットフォームを紹介しています。それぞれのメリット・デメリットやどんな企業におすすめなのかまとめているので、ぜひ参考にしてください。
ライブコマース配信アプリ/ツール/プラットフォーム比較【2024年度最新版】
日本市場で失敗しないライブコマースの方法
それでは「日本では今後もライブコマースが流行らないのか」というと、テイラーアップでは「そうではない」と予想しています。
過去の失敗と、現在の課題をふまえ、日本でのライブコマースを成功に導くためのポイントは以下のとおりです。
- 日本の市場環境に合わせたゴール設定を行う
- ライバーの育成とキャスティングを工夫する
日本市場で効果の高いライブコマースを実施するためにも、しっかりポイントを押さえておきましょう。
日本の市場環境に合わせたゴール設定を行う
日本のライブコマースでは、中国のような爆発的な売り上げは見込めないかもしれません。しかし、ライブコマースの成果は、即効性のある売り上げ増加だけではありません。
【ライブコマースで期待できる成果】
|
売り上げ増加以外にも上述のようなメリットが存在することから、「日本でライブコマースを実施しても効果がない」とは言えません。それどころか、これからは日本でも上記のようなゴールを目指してライブコマースに取り組んでいかないと、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性さえあります。
特に、広告戦略が思うように進まない企業や新商品の認知度向上に課題を抱えている企業にとって、ライブコマースは新たな可能性を開くチャンスになり得ます。
ライバーの育成と適切なキャスティングを工夫する
成功するライブコマースには、ブランドや商品への共感や理解を深める出演者や、集客力と販売力を持った出演者の存在が欠かせません。
日本市場全体でライバーの育成が不可欠です。中国で見られるようなKOLやライバーを模範に、日本国内でもライバーの育成に力を入れる事務所や企業が増えています。今後そのようなライバーが増えてくれば、適切なキャスティングによって売上の向上も見込めるでしょう。
ほかにも、外部の出演者ではなく自社の社員やスタッフを起用することで、独自の成功を収めている企業のケースもあります。
例えば、コスメなどの商品の開発、伝統工芸品を製造する企業は、開発部門の自社社員をキャスティングして製作のストーリーを全面に披露しています。
ライブコマースで製品の品質や価値をアピールするだけでなく、その製作プロセスの困難さや労力を共有することで、消費者との深い共感やつながりを築くことができます。
日本でライブコマースを成功に導くためのヒント
ライブコマースにおける成功とは、販売目標の達成だけでなく、ブランドの認知度向上、顧客との信頼構築、エンゲージメントの強化など複数の面での成果を指します。
ここでは、日本でライブコマースを成功に導くためのヒントを紹介します。
- ライブ配信を見に来てくれるロイヤルティの高いユーザーを特定する
- ライブ配信の定性・定量データを元に改善する
- 販売ではなく「認知度アップ」や「マーケティング戦略への活用」を目的にする
ライブ配信を見に来てくれるロイヤリティの高いユーザーを特定する
ライブ配信でロイヤリティの高いユーザー(企業やブランドへの愛着が強い顧客)を特定することは、ライブコマース成功の鍵です。企業の熱心なファンはブランドの信頼性向上とコミュニティの形成に欠かせません。
これを実現するためには、配信内容を分析し、特に反応が良い視聴者層を見極めることが重要です。
そして、ライブコマースでは、コマーサーがロイヤリティの高いユーザーからのコメントや質問にしっかり答えて、「購入前の不安を解決してあげること」や「その商品が欲しくなるようなストーリーを紹介すること」なども喜ばれます。
ロイヤリティの高いユーザーの意見を積極的に取り入れることで、さらにファンを増やすことができます。
ライブ配信の定性・定量データを元に改善する
ライブコマースの成果を最大化するためには、配信から得られる定性データ(視聴者のフィードバックや感想)と定量データ(視聴回数、滞在時間、クリック数など)を活用することが大切です。
例えば、視聴回数や滞在時間、コメントやリアクションから「配信のどの部分が視聴者にとって興味深かったか」を把握し、次回の配信内容を調整します。
ほかにも、定量データを活用して最も活発に参加する視聴者層を特定。そのグループに合わせたコンテンツ作成のヒントとしても活用できます。配信から得られるデータを使って、ライブ配信の質を向上させ、よりよい配信コンテンツを増やすようにしましょう。
これにより、ブランドや商品の認知度を効率的に底上げし、今後のマーケティング活動の方針を明確にできます。
ただし、インスタライブでライブコマースをする場合、配信から得られる定量・定数データが残らないので注意が必要です。
snsforceを導入すると、コメントなどの過去ログがデータとして蓄積できます。そのため、コンテンツの改善ポイントが明確になります。
▼snsforceでできることの詳細は、以下よりご確認ください。
https://www.snsforce.jp/
販売ではなく「認知度アップ」や「マーケティング戦略への活用」を目的にする
ライブコマースの成功を実感するためには、目的を「認知度アップ」や「マーケティング戦略への活用」とするのも良い方法です。
ライブコマースの配信動画は、一度きりの使用に留まらずSNSの投稿、広告素材、メールマーケティングなど、他のマーケティングコンテンツとして再利用可能です。
TikTokやYouTubeなどでライブ配信の切り抜きを利用することで、普段はイーコマースを見ない潜在顧客にもアプローチできます。例えば、ライブ配信で反応の良かった部分だけをInstagramの「リール」として投稿するのも効果的です。
このようなアプローチにより、ライブコマースへの参加者を増やしブランドの視認性を高め、最終的には売上向上につながる認知度の底上げをします。
下記のダウンロード資料で「広告施策」「製品開発へのヒント」などマーケティングの活用事例を紹介しています。
▼snsforceのサービス資料
https://www.snsforce.jp/download/
日本でのライブコマース成功事例
実際に日本で「ライブコマースで成果を出したい」と思ったときに参考になるのが成功事例です。
ライブコマースを導入する前にどんな課題を持っていて、ライブコマースを使ってどのように解決したのかご紹介します。
成功事例①小学館「美的」様「インスタライブで52万人のフォロワーを美的ブランドのファンに」
小学館「美的」様はライブコマースを「ブランドの宣伝媒体」として活用していたものの、52万人いるインスタのフォロワーにうまくアプローチできていないことが課題でした。
弊社からは、フォロワーのアクションを活性化させるために「リールにコメント設定」「ライブ配信動画の二次利用」「コメントをしてくれた視聴者にDMでアンケートを実施」「アンケートに答えるとコスメのサンプルがもらえる」などの施策を提示しました。
「snsforce」の機能を活用すれば、インスタライブを使って各ブランドと美的の52万人のフォロワーとのコミュニケーションを促進したり、「美的」というブランドを生かして商品の付加価値を高めたりすることに、より力を発揮できると思います。
▼小学館「美的」様の導入事例について、詳しく知りたい方は下記よりご覧ください。
https://www.snsforce.jp/casestudy/02.php
成功事例②snsforceとリール投稿を使って再生回数が通常の30倍!
アパレルブランドのN社は自社でライブコマースをしていたものの「再生回数が増えなかった」「フォロワーのアクションが少ない」が少ないという課題を持っていました。
そこでフォロワーのアクションを活性化させるために「公式アカウントでのライブ配信後に、ご紹介のコーディネートに番号をつけ、リールへ投稿」「DMで購入情報を送付」を実施しました。
その結果、「再生回数が通常の30倍」という大きな変化と「フォロワーのアクションを活性化」といった反応があり、結果「公式アカウントリーチUP」という成果を得ることができました。
このとき利用したのが、DMで購入情報を自動送付できるツール「snsforce」です。
「snsforce」の詳細や活用事例については下記のダウンロード資料をご参照ください。
https://www.snsforce.jp/download/
「日本のライブコマースで成果を最大化するツール」もぜひご活用ください
今後日本でもKOLやコマーサーが増えれば、中国のような状態が訪れるかもしれません。しかし現状では「流行らない」「うまくいかない」と感じている企業もあるでしょう。
しかし成功事例で紹介したように、日本に合ったライブコマースの形へと見直すことで、思った以上の成果が出るようになります。
ライブコマースは販売数や売り上げを伸ばすだけのツールではなく、「ブランドのイメージ向上」や「広告効果の改善」「マーケティング戦略の一環」などにも活用できます。
成功事例もご紹介しましたので、自社での活用イメージがつかめてきたのではないでしょうか?
企業で手軽に始めるライブコマースに活用されるのが「インスタライブ」です。しかし、「過去のライブデータが残らない」「結局なにをどうすればいいの?」と悩む担当者様も少なくありません。
いち早く成果を出すためには、ぜひ活用してほしいツールが「snsforce」です。snsforce導入直後より、コメントや離脱率などライブデータのすべてがシステム上に蓄積されていきます。ぜひお気軽にご相談ください。
▼snsforceでできることの詳細は、ぜひ以下よりご確認ください。
https://www.snsforce.jp/
もっと効率的に進めたいのに時間や人手が足りず困っておられるのならLIVURUもおすすめです。設計から配信までまるっと経験豊富なプロに相談したい場合はLIVURUもぜひご活用ください。
https://livuru.jp/