ライブコマースとは、リアルタイムで行うライブ配信を通じて視聴者に商品を紹介したり、認知度を上げたりするマーケティングの手法です。
ライブコマースを行うプラットフォームにはいくつかありますが、その中にはYouTube Liveもあります。広範なリーチの獲得や長期的なコンテンツ活用ができるなどのメリットがある一方、気を付けておきたいデメリットも少なくありません。
この記事では、YouTubeでライブコマースを始めたいと考えている企業のマーケティング担当者向けに、YouTubeでのライブコマースの始め方や成功事例、成功させるためのポイントについて解説します。
なお、弊社では初めてライブコマースに取り組む企業様には、YouTubeだけでなく、インスタライブでのライブコマースもおすすめしています。
広告を打たなくてもライブコマースで売上が上がる仕組み作りやコンテンツ作りの参考になる無料のダウンロード資料を用意しました。また、インスタライブでのライブコマースの始め方を知りたい方は「インスタライブを配信・視聴するには?基本~企業での活用方法まで徹底解説」を参考にしてください。
Contents
YouTube Liveとは
ライブコマースをするためには、ユーザーがリアルタイムで動画を配信できる機能を提供するプラットフォームが必要です。YouTubeで配信するのであれば、YouTubeの機能の1つであるYouTube Liveを利用します。
YouTube Liveでは企業や個人がライブ配信を通じて多くの視聴者とリアルタイムでつながり、コメントのやり取りができます。YouTube Liveには下記の機能が付いています。
リアルタイム配信 | 視聴者と直接コミュニケーションを取りながら、ライブで情報を発信可能。 |
ライブチャット | ライブ配信中に視聴者とリアルタイムでチャットができる機能。
視聴者からのコメントや質問に即座に対応できるため、双方向のコミュニケーションが可能です。 |
スーパーチャット | 視聴者がチャット内でメッセージを目立たせるために料金を支払う機能。
これにより、配信者は追加の収益を得られる。 |
モバイル配信 | スマートフォンやタブレットを使ってライブ配信できる。 |
アーカイブ機能 | ライブ配信が終了した後も、配信内容をYouTubeにアーカイブとして保存し、後から視聴できる。
これによりリアルタイムで視聴できなかったユーザーもコンテンツを楽しめる。 |
分析ツール※ | YouTubeライブには、視聴者数、視聴時間、チャットのエンゲージメントなど、詳細な視聴データを分析できるツールが搭載されている。 |
通知機能※※ | 視聴者がチャンネルを登録し通知をオンにすることで、新着の通知を受け取れる。 |
※分析ツールは視聴データをチェックできるものの、分析して次回の配信につなげるためにはある程度の知見や経験が必要です。
※※視聴者が 1 つのチャンネルから 24 時間以内に受け取れる通知は計3件までで、通知の種類(新着のみ、ライブのみ)は指定できません。
YouTube Liveでライブコマースをするメリット
YouTube Liveを活用したライブコマースには、3つのメリットがあります。
- 広範なリーチが獲得できる
- アーカイブが残り長期的なコンテンツ活用ができる
- YouTube アナリティクスでデータが見れる
どれもライブコマースの成功のために欠かせないポイントです。それぞれ詳しく説明します。
メリット1: 広範なリーチが獲得できる
YouTubeは世界中で数十億人のユーザーが利用しているプラットフォームです。ライブ配信を行うことで、いつでもどこにいても世界中の視聴者にアプローチできます。日本国内はもちろん海外の消費者にもリーチできる点がメリットです。
特にガジェット系やマネー系など、YouTubeに親和性の高い商材におすすめです。YouTubeは政治や自治体公式のニュースからエンターテインメント性の高いものまでさまざまで幅広い年齢層に受け入れられています。他のSNSやショート動画配信サイトと比べ、ガジェットやマネー、フィットネスのようなテーマを好む視聴者が多いのも特徴です。
メリット2: アーカイブが残り長期的なコンテンツ活用ができる
ライブ配信終了後も、アーカイブとして動画を保存・公開できるため、長期的にコンテンツを活用できます。これにより、ライブ配信を見逃した視聴者にもリーチでき、再生回数の増加が期待できます。
ただしYouTubeには、差別的・暴力的な表現や未成年にふさわしくないコンテンツを禁じるガイドラインがあり、それに違反しているとアカウントの停止・失効などの厳しいペナルティがあるので、動画の内容には注意が必要です。
メリット3: YouTube アナリティクスでデータが見られる
YouTubeには、YouTube アナリティクスが搭載されており、下記の情報をチェックできます。
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これらのデータを活用し、次回の配信に向けた改善をします。ただし、データを上手に活用して次回の配信に活かすためにはある程度の経験と知見が必要です。
より効果的なライブコマースを実現し、視聴者とのエンゲージメントを高めるためにはプロに任せるのも1つです。自社で運用経験を重ねるのももちろん有効な方法ですが、できるだけ早期に成果を出したいなら、プロへの依頼も検討ください。
YouTube Liveでライブコマースをするデメリット
YouTube Liveでライブコマースをする際には、いくつかのデメリットがあります。ここでは、その中でも気をつけておくべき4つのデメリットについて見ていきましょう。
- プラットフォームの変更やアルゴリズムの更新に影響を受けやすい
- ライブ配信画面から商品の購入ができない
- 購入意欲が高い視聴者は少なめ
- ライブ配信が始まっても即時通知が来ないことがある
デメリット1: プラットフォームの変更やアルゴリズムの更新に影響を受けやすい
YouTubeは頻繁にプラットフォームの変更やアルゴリズムの更新があります。これにより、視聴者のリーチやエンゲージメントに影響が出る可能性があります。
例えば、アルゴリズムの変更によって動画の表示順位が変わると、突然再生回数が減少することがあります。多くの企業が参入しているYouTubeではライバルも多く、その中での順位低下は大きなリスクです。
担当者は常に最新の情報をキャッチし調整していくことが求められます。規約の変更に気付かず違反をするとアカウントの一時停止や永久削除される可能性もあるので、毎月1回など定期的にガイドラインのチェックを行いましょう。
デメリット2: ライブ配信画面から商品の購入ができない
ライブコマース専用のプラットフォームとは異なり、YouTube Liveには配信画面から直接商品を購入する機能がありません。そのため、視聴者が商品を購入するには、一度別のサイトに移動する必要があります。
このプロセスが手間だと感じた視聴者は購入意欲がなくなってしまうかもしれません。
視聴者がスムーズに商品を購入できるよう、リンクをわかりやすく配置したり、簡単な購入方法を案内したりする工夫が必要です。
デメリット3: 購入意欲が高い視聴者は少なめ
YouTubeは主にエンターテインメントを楽しむプラットフォームとして利用されているため、視聴者の購入意欲が他のショッピング専用プラットフォームと比べて低いです。
さらに、YouTubeを利用する多くのユーザーは、情報収集や娯楽を目的にYouTubeを訪れるため、必ずしも購入を前提としていません。そのため視聴者の購入意欲を高めるには、特別なキャンペーンや限定オファーを提供するなど、購入につながる工夫が必要です。
一方、インスタライブは流行に敏感な若年層を中心としており、気に入った商品があればタグ付けして購入に備えるといった行動も定着しています。そのためYouTubeと比べるとインスタライブのほうが購買意欲の高い視聴者が集まりやすい傾向にあります。
デメリット4:ライブ配信が始まっても即時通知が来ない場合がある
双方向のコミュニケーションが重要なライブコマースにおいて、リアルタイムの視聴者数はとても大切なポイントです。しかしYouTubeでは、ユーザー自身がチャンネル登録のうえ通知設定をすべてONにしていないと、ライブ配信が始まっても即時通知が届きません。
さらに、前述のとおり1日に受け取れる通知は3回までで、配信者・視聴者ともにその内容を指定することができないため、通知をONにしていても確実にライブ配信の開始が伝わるとは限らないのが難点です。
インスタグラムのような「〇〇がライブ配信を開始しました!」という即時通知がなければ視聴者にライブ配信の開始を気付いてもらいにくいので視聴者が集まりにくくなります。
上記の対策としては、事前予告を十分に行うことがあげられます。しかしインスタグラムではフィードやストーリーズで効果的な予告ができますが、YouTubeでは告知をしづらいことも課題です。別のSNSを使って告知する方法もありますが、手間やリソースがかかるためうまく運用できていないケースも少なくありません。
YouTube Liveでライブコマースを始める4ステップ
YouTube Liveでライブコマースを始めるためには、以下の4つのステップにそって進めていくとスムーズです。
- YouTubeチャンネルの開設
- ライブ配信の準備
- YouTube Liveの告知とプロモーション
- ライブ配信の実施
ステップ1: YouTubeチャンネルの開設
まずはYouTubeチャンネルの開設をしましょう。
Googleアカウントさえあれば3ステップ、2~3分で簡単にチャンネルを開設できます。
STEP1.Googleアカウントを登録する
STEP2. YouTubeチャンネルの作成 STEP3. チャンネル名と基本情報の設定 |
チャンネル名や基本情報を設定し、企業・ブランドのイメージに合ったチャンネルを作成しましょう。視覚的な要素(バナー、アイコン)も統一感のあるデザインにするのがおすすめです。
これでチャンネルの開設ができました。つぎに、ライブ配信の準備をします。
ステップ2: ライブ配信の準備
次に、ライブ配信の準備を行います。
必要な機材(カメラ、マイク、照明など)を揃え、配信環境を整えましょう。YouTubeはスマートフォンやタブレットを使ってのライブ配信も可能です。
もし高画質で配信したい場合はライブ配信ソフトウェアの設定も重要です。OBS Studioなどの無料ソフトを使用すると、高い品質の配信ができます。配信前にテストを行い、機材やソフトウェア起因の配信トラブルを防ぎましょう。
ステップ3: YouTube Liveの告知とプロモーション
ライブ配信の前には、視聴者に向けた告知とプロモーションを行います。YouTubeでは基本的に即時告知ができないため、SNSやメルマガなどを活用して、ライブ配信の日時や内容を広く事前告知をしましょう。
また事前にYouTubeショート(最大60秒の縦型動画を撮影・配信できる機能)を使ってティーザー動画を作成し興味を持ってもらう施策も効果的です。
ステップ4: ライブ配信の実施
告知やプロモーションが終わったら、実際にライブ配信を行います。ライブコマース中は視聴者とのコミュニケーションを大切に、できるだけ多くのコメントや質問に対応すると効果的です。
また、視聴者のエンゲージメントを高めるために、投票やアンケートを活用するのも良い方法です。配信終了後は、アーカイブとして動画を保存し、リアルタイムで観られなかったユーザーが後から視聴できるようにしましょう。
▼ライブコマースの始め方については、下記の記事で詳しく紹介しています。
【ゼロから始めるライブコマース】企業が知っておきたい基本と導入ステップ
成功事例から学ぶYouTube Liveでのライブコマース
ライブコマースのコンサルティング業界でリーディングカンパニーであるTailor App(テイラーアップ)は、これまでに通算800件以上のライブコンサルティングとツールを提供しています。
これまでの実績の中から、YouTubeでのライブコマースの成功事例をいくつかご紹介します。
成功事例1: テロップが使用できるYouTubeの利点を活かし、情報を視覚的に訴求
美容機器で有名なA社がライブコマースに至った経緯や課題、対策は下記のとおりです。
【経緯】
・美容機器を販売しているA社。 ・ライブコマースで商品の認知拡大と販売を行いたいと考えていた。 【課題】 ・とにかく訴求事項が多い。 ・既存ターゲットだけではなく、若年層への認知を拡大したい。 ・ブランディング不足なので商品について知ってほしい。 【対策】 ・訴求ポイントの多さはテロップで対応した。 ・情報を整理してカジュアルに伝えられるKOLを起用した。 【結果】 ・KOLの他社PR動画と比較し、再生数120%から最大400%の数値の醸成に成功した。 |
一般的に、美容系の商材は出演者(インフルエンサー・KOL)や視聴者層でいうとインスタライブ(Instagramでのライブ配信)向けです。
A社の課題は「若年層への認知」「ブランディング不足」でした。美容機器は競合も多く、他社との比較・訴求事項が重要なため、あえてインスタライブではなくテロップを出せるYoutubeでのライブコマースを実施することにしました。
美容機器以外でも、情報量が多く、出演者が口頭で話すだけでは訴求ポイントが伝わらない懸念がある商品ではYouTube Liveを選ぶのもおすすめです。A社も適切にテロップ表示を入れた結果、数多くの情報を視覚的に伝えることができました。
出演者の他社PR動画と比較しても、再生数120%から最大400%の数値の醸成に成功した事例です。
成功事例2: Youtubeに親和性が高いガジェット系ライブコマースで150万の売上に成功
パソコン、カメラなどのガジェット系商品を販売しているB社がライブコマースに至った経緯や課題、対策は下記のとおりです。
【経緯】
・ガジェット系商品を販売しているB社。 ・ライブコマースで課題を解決したいと考えていた。 【課題】 ・ガジェット系は種類やメーカーが多く、差別化が難しい。 ・「ガジェットは難しくてよく分からない」など商品理解が得られづらい。 【対策】 ・顧客に近い属性のガジェット系KOLが出演し、ライブコマースを実施した。 ・KOLが自分のチャンネルで事前告知をすることでライブコマースの認知を拡大できた。 【結果】 ・ライブコマースに常時400~500人の同時視聴者が参加した。 ・売上150万を達成できた。 |
ガジェットやマネー系などYouTubeの視聴者に親和性の高い商材はYouTube Live向けです。しかし、ガジェットは差別化が難しく、さらにオンラインでの商品理解が得られづらいのが大きな課題です。そこで、ガジェット系KOLにライブコマースを依頼し、高画質配信で商品の良さをアピールしました。
B社の例のように、出演者(インフルエンサー・KOL)のフォロワーがインスタよりもYouTubeに多い場合、YouTube Liveもおすすめです。熱量の高い視聴者数の増加と売上アップが期待できます。
ガジェット以外にもスポーツ・フィットネス系やゲーム関連などインスタよりもYouTubeにユーザーが多いジャンルはYouTube Liveがおすすめです。
成功事例からも分かるように、インフルエンサーやKOLを起用した配信は、配信者の得意なプラットフォームを選ぶことで集客効果が期待できます。しかし、YouTubeはインスタライブのように確実にライブ開始を通知できないなどのデメリットもあり、企業のライブコマースには基本的にはインスタライブのほうがおすすめです。
ここまでお読みいただき、「では、うちの会社はYouTubeに向いているのだろうか?」と判断に迷ったら、ぜひテイラーアップにご相談ください。
YouTube Liveでライブコマースを成功させるポイント
ライブコマースは配信して終わりではありません。配信後も含めてYouTube Liveでのライブコマースを成功させるポイントは下記の2つです。
- データ分析を活用し、今後の配信に活かす
- ライブコマースをYouTubeショートに活用する
ポイント1: データ分析を活用し、今後の配信に活かす
YouTube Liveの大きな特徴が、YouTubeアナリティクスで配信に関するデータを蓄積できることです。YouTubeアナリティクスを活用して、視聴者数、視聴時間、チャットエンゲージメントなどのデータを分析し、視聴者の反応を把握できます。
配信後のデータ分析は、次回の配信に向けた改善点を見つけるためにとても重要ですが、データだけが手に入っても、それをフル活用できるようになるには多少時間がかかります。
「ライブコマースに関するあれこれを全て任せられるLIVURU」なら蓄積されたデータの分析も得意です!「データ分析のやり方がわからない」「まったく知識のない状態でライブコマースを成功させられるのか」と不安を感じる企業様にぴったりです。
設計から配信までワンストップで任せたい方は、LIVURUを活用して、ライブコマースの可能性を最大限に引き出してください。
ポイント2: ライブコマースをYouTubeショートに活用する
YouTube LiveでのライブコマースをYouTubeショートに活用すると成功の可能性がグッと広がります。
ショート動画のメリットは、短い動画で視聴者の注意を引きつけ、簡潔にメッセージを伝えられることです。ライブ配信のハイライトや重要なシーンを再利用したYouTubeショートで、さらなる視聴者を獲得してみましょう。
手順は難しくなく、ライブ配信後にハイライトシーンを選び、60秒までの短尺動画として編集・公開するだけです。ショート動画を通じて自社の商品サービスやライブ配信への興味を引き、次回のライブ配信への誘導が期待できます。
YouTube LiveでのライブコマースをYouTubeショートに活用してみたい!という企業のご担当者はぜひ一度ご相談ください。
▼YouTubeショート(短尺動画)を使ったマーケティング戦略やYouTubeショートの活用方法について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
短尺動画を使ったマーケティングが熱い!企業が積極的に取り入れる理由やライブコマース動画の生かし方も紹介
YouTube Liveでのライブコマースはデータ分析をプロに任せるのがおすすめ!
YouTubeライブコマースは企業が商品をリアルタイムで紹介し、視聴者との双方向コミュニケーションを図る強力なプラットフォームです。
幅広い層のユーザーにリーチできる点や、コンテンツをアーカイブとして活用できる点が大きな魅力です。ただし、インスタライブと違って、即時通知が来ないことがある、購入意欲が高い視聴者は多くないといったデメリットも多くあります。
上記をふまえ、Youtube Liveを選ぶべきか、インスタライブにするべきか……と迷った場合、ライブコマースの実施が初めての企業では、
「やってみたいが時間や担当者のリソースが足りない」
「結局YouTube Liveとインスタライブってどっちがいいの?」
など判断がつきかねるかもしれません。
でもご安心ください!ライブコマースに関するあれこれを全て任せられるLIVURUならリソースや知見に不安を感じる方にぴったりです。
LIVURUは、ライブ配信だけでなく、効果的なPDCAを回しながら「配信者の教育」や「販促企画」「改善提案」「目標設定」までライブコマースに関するすべてをサポートします。
プロのサポートを受けることで、最短ルートでより効果的なライブコマースを実現し、成功に近づけることができます。ぜひ、LIVURUを活用して、ライブコマースの可能性を最大限に引き出してください。
YouTubeよりも手軽にライブコマースを始めたいのであれば、スマホ1つで始められるインスタライブを使うのもおすすめです。
インスタライブではコメントやデータの保存ができないため「snsforce」を使って、コンテンツの改善ポイントを明確にしましょう。
もっとライブコマースに関する専門的な意見を聞きたいという方には無料でダウンロードしていただける資料をご用意しています。お気軽にご利用ください。