ECサイトを運営する企業にとって、新たな売上向上の手段として最近ますます注目されている「ライブコマース」。
自社でも取り組みたいと思いながらも、
「生配信なので失敗すると企業イメージを毀損するのでは」
「インフルエンサーや芸能人とつながりがないと、やっても誰も見ないのでは」
といった理由から二の足を踏んでいる企業も多いのではないでしょうか。
しかしライブコマースは本来ECサイトと大変相性がよく、やらないのは非常にもったいない話です。
また、しっかりと視聴者を集め売上を作るのは、必ずしも有名人の力を借りずとも十分に実現可能です。
この記事では、
- ライブコマースの基本的な知識
- 海外と日本でのライブコマース市場の状況
- ECサイトの売上を最大化するためのライブコマース企画と実施
- 具体的な始め方のステップ
などを紹介します。
Contents
ライブコマースとは?海外の市場規模
ライブコマースとは「ライブ配信」と「Eコマース」を組み合わせた言葉で、インターネットを通じたリアルタイムな商品紹介を視聴し、そのまま購入もできるオンラインショッピングの一形態です。
一般的なECサイトでは、ユーザーが商品を選ぶときの情報は画像と説明文に加えて簡単な動画がついている程度です。
ライブコマースでは、映像と音声によりそれよりもはるかに詳しい情報が手に入るうえ、配信中に質問やコメントができて返事ももらえるという双方向性、何が起こるか分からないワクワク感などが大きな特徴であり、視聴者が貴重な時間を使ってライブコマースを見る理由はそこにあるといえます。
ライブコマースは海外でも盛んに行われていますが、その中でも、広い国土の隅々までデジタル化が進み、SNSのインフルエンサーが人々の購買行動に強い影響力を持つ中国の市場規模は突出しています。
2023年の中国におけるEC売上高の19.2% をライブコマースが占めるという結果が予想されており、総売上高は 2023年の5,626億ドルから2025年には8,439億ドルに増加する※1という見方もあるほど。
(※1 出典:INSIDER INTELLIGENCE|Live Commerce 2023)
8,439億ドルは1ドル150円とすると126兆5,850億円ですから、日本の2023年度の国家予算の総額114兆3812億円を超える勢いです。
アリババを運営する天猫(Tmall)、タオバオ(淘宝網)、京東(JD.com)、拼多多(Pinduoduo)、微信(WeChat)、TikTokの姉妹アプリの抖音(Douyin)や快手(Kuaishou)など、中国の主要なECやソーシャルプラットフォームではほぼすべてがライブコマース機能を実装しています。
▼中国のライブコマース事情についてさらに詳しくはこちらから
他にもライブコマースはアジアの国々を中心に普及しており、インフルエンサーが配信中に気軽にPRを始めるカルチャーが定着している韓国や、中国語が広く使われているシンガポールやマレーシアなどで発展しています。
ライブコマースが日本で普及しないのはなぜ?
ライブコマース大国ともいわれる中国と比べ、日本の市場規模や普及状況はまだまだ発展途上で、2016~2017年頃にライブコマースに参入したメルカリやYahoo!などは売上がふるわず数年で撤退してしまったという過去もあります。
日本でライブコマースが中国ほど広がらない理由としては、次のようなものが考えられます。
【市場環境の違い】
- 日本では通販の信頼性が高く、インフルエンサーからの保証がなくても粗悪品の心配が低い
- 多くの地域で近所でリアルな買い物ができるので、そもそもEC化率が低い
【インセンティブの有無】
- 楽天やamazonではなく、ライブコマースから買う購買動機となるインセンティブが弱い
- また、配信の質が低いライブコマースも見受けられる
しかし裏を返せば、日本の市場環境や消費行動に合った形でライブコマースを展開できた企業にとっては、ライバルが少ない分、今後大きく伸びる可能性もあるといえます。
▼中国のような巨額の売上達成は日本では難しい?日中のライブコマース事情のくわしい比較はこちらから
日本のライブコマース市場は今後どうなる?中国と比較した日本の課題や成功させるためのポイントを徹底解説
店舗主体の企業とECメインのライブコマースの違い
ライブコマースの共通の目的は「売上向上」ですが、現在の業態によっても取り組みの方向性は若干変わってきます。
- 店舗主体で、今後ECにも力を入れていきたい
- EC(オンラインショップ)の売上が大半を占め、販促の一環としてライブコマースも行いたい
それぞれの特徴とライブコマースのアイデアをあげてみました。
【店舗主体の企業のライブコマース戦略】
各地域に店舗を持つ企業の場合、接客のプロを多く擁しており、見栄えのいい売り場と商品・マネキンや試着室といった設備が揃っているため、幅広いコンテンツでライブコマースの配信を始めやすいのが強みです。
一方で、ECサイトの仕組みがない、または弱い場合、受け皿となる自社ECサイトやモール型ECサイト出店の準備から始める必要があり、時間と費用がかかります。
したがって、店舗を多く持つ企業のライブコマースの方向性は、EC化率向上も念頭に置きながら、同時に店舗へ来て商品を触ってもらう・ブランドを体験してもらうといった導線作りも行っていくのがおすすめです。
過去の事例では以下のようなものがあります。
- ライブコマースで店頭のポップアップショップを紹介する
- 定期的な配信を継続することで店員をブランディング化
- ライブコマースの視聴者に1日限定の店舗割引きクーポンを送る
こういった実店舗と連動した施策を行いつつ、ライブコマースに出演しファンを増やせるようなスター店員・社員の育成にも取り組んでいけるとベストです。
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【ECサイトメインの企業のライブコマース戦略】
すでにECサイトを展開している企業では、ライブコマースからサイトへの導線は比較的スムーズに進むのが大きなメリットです。
一方、本社で働くEC運用人材は多いものの店舗や接客販売を担当する社員がいない場合、ライブコマースの会場がない、フロントで商品を紹介する社員をアサインできないといった問題が予想され、外部コマーサー(出演者)を探したり社内で育成したりする段階でコストがかかるかもしれません。
ECサイト中心の企業が実際にどのようなライブコマースをやればいいのかのコツは「最初から売ろうとしないこと」です。実店舗で見たことのない商品をいきなりすすめられても、視聴者側には認知や信頼が育っていないため、なかなか購入には結びつきません。
それよりも、たとえばスキンケア商材であれば原材料の栽培農園から配信を行う、女性向けのサプリメントなら女性の働き方や社会のありかたを専門家と語るなど、現在注目が高まっている「プロセスエコノミー(製造過程、背景)」の視点からライブコマースをスタートさせ、共感する視聴者を集めていくと理想的です。
とはいえ、ほとんど認知のない状態で上のようなライブコマースを実施しても共感して見てもらえる可能性は低いため、並行して日頃からていねいにSNS上で発信を続けていくことも欠かせません。
Tailor Appでは、インスタグラムを筆頭に、ライブ配信への重要な導線となるSNSの運用もお手伝いしています。「具体的にどんな発信をすればいいのか分からない」「社内にSNSを回せそうな人材がいない」といった場合はお気軽にご相談ください!
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ライブコマースのやり方と成功させるコツ
続いて、企業がライブコマースに初めて取り組むときのステップを紹介します。
- 1.配信の目的を明確にする
- 2.ターゲットを決める
- 3.プラットフォームやSNSを選定する(視聴導線の確保)
- 4.購入動線/在庫管理/決済のシステムをチェック
- 5.企画を立てる
- 6.配信環境の決定
- 7.配信時間帯・配信時間の確定
- 8.台本を作る
- 9.出演者との打ち合わせ
- 10.テスト配信
- 11.予告
- 12.配信開始
- 13.アーカイブのシェア
- 14.お礼の投稿
- 15.配信の振り返りと分析
この流れのうち、初めの2つが全てを決めると言ってもいいほど重要です。
最終的な目的はもちろん「ライブコマースを通じてECの売上を伸ばすこと」ですが、ライブコマースの内容や方向性は1つではありません。
具体的にいうと「直接商品を紹介してどんどん売る」のか「企業のコンセプトやブランディングを高めながらコミュニケーションを取り、ファンを増やす」のかではその後の企画も台本も出演者もまったく違ったものになります。
また「どんな人たちに売るか」によって、選ぶプラットフォームやSNS、適した出演者、もしかして配信の時間帯すら異なる可能性は十分あります。
この違いを明確にした上でライブコマース配信までのルートを設計するのが、ECにとどまらずすべてのライブコマースの成功のコツだといえます。
それぞれのステップの具体的な手順やポイントについては個別の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
インスタライブで販売(ライブコマース)を成功させるためのガイド – 戦略型ライブコマース【ライブル】
ライブコマースを使ってECの売上を伸ばした企業の成功例
ライブコマースをうまく活用し、ECサイトで自社商品の売上を伸ばしている企業の事例をいくつか紹介します。
成功事例①大手美容健康機器メーカー
人気モデルとスタイリストを起用したライブコマースで商品理解を促進。snsforceの自動DM機能を活用し、コメントを寄せた視聴者に出演者からDMを自動送信、「憧れのインフルエンサーからDMが来た!」と興奮を呼ぶ顧客体験を提供しました。これにより、過去類似企画の70倍を超えるコメント数と1000件以上のインサイトを獲得。ターゲットを絞った深いコミュニケーションを追求して成果が出たケースです。
成功事例②大手美容日用品メーカー
消費者に「ものは最高レベルだけど少し高額で手が出ない」と認識されている美容機器を、著名KOL(Key Opinion Leader/影響力の大きい売り手)を起用し、数万円単位の高い割引率で販売。またリテールモーメント(ECモールのポイント10倍デーなど)に合わせたタイミングで多数のユーザーへ展開した結果、1時間のライブコマースで1,500万円、CVR15%という驚異の売上を記録しました。
▼インスタライブを活用したライブコマースの成功ガイドはこちらの記事でも詳しく紹介しています
https://livuru.jp/column/instalive-success/
ライブコマースを活用し、新しいECの可能性へ
オンラインショッピングが普及した現在、多くの企業が店舗とECの二刀流で販売をおこなっています。店舗主体の企業が「EC化率も高めていかなければ」と考える一方で、EC主体の企業も競合がどんどん増え売上の停滞や広告の効果の低下などさまざまな課題を感じているかと思います。
そんな市場環境のなかで、消費者と双方向でのコミュニケーションが取れる「ライブコマース」には大きな伸びしろがあり、今後広告を超える販売手法となる可能性もあります。
しかしいざ導入する段階になると、ツールから費用・配信前後の作業まで、やることや判断すべき事柄が多く、なかなか開始できないというお悩みをお持ちの企業も多いのではないでしょうか。
そのような場合はプロに依頼するのも有効な方法です。戦略型ライブコマースのLIVURU(ライブル)では、WEB上の集客から、大変な台本制作・演者教育・現場ディレクションまで全てワンストップでサポートし、”見られるライブ”、”売れるライブ”実現をお手伝いします。以下より実際の事例などもぜひご確認ください。
また既にライブコマースを始めてみたものの、期待したほどECの売上向上に結びつかず、改善点を模索しておられる企業もあるかもしれません。
しかし、現在ライブコマースの8割を占めるといわれるインスタライブでは、配信中に表示される視聴者数やコメント内容などは配信が終わると見られなくなってしまうため、改善もままなりません。
そこで、どこで視聴者が離脱してしまったのか、配信中のコメント内容やコメントが増えたタイミングはいつか……などを取得できるツール「snsforce」を活用して、より効果の高いライブコマースに近づけていきませんか?
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