ライブコマースとは、ライブ配信で商品を紹介する販売手法です。中国のライブコマース市場は100兆円規模で、「数時間で何千万円売り上げた」など多くの成功事例がニュースになっています。
それでは、日本ではどのようなライブコマース成功事例があるのでしょうか。
この記事では、事例を参考にしながら、日本でライブコマースを成功させるポイントを解説します。どういうやり方なら成功できるかを知って、自社で再現する方法を見つけましょう。
Contents
日本での成功事例を再現して最短距離で成果を出す
具体的な日本での成功事例を紹介する前に、まずは「ライブコマース成功の考え方」について紹介します。
中国のライブコマースでは「○時間で○千万円」「○分で○万個完売」など、どれだけ売れたかが成功事例として注目されます。もちろん、売上アップはライブコマースの成功パターンのひとつです。しかし日本でライブコマースの成功を考えるには、ライブ配信時の売上以外にのメリットに目を向ける必要があります。
具体的なライブコマースのメリットには以下のようなものがあります。
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上記のメリットを得るためには、各々の成功ポイントを押さえることが大切です。
たとえば、中国のライブコマースは圧倒的な「お得感」を演出して売上を伸ばしています。しかし、日本で値引きに頼ると、スケールメリットがないため収益低下を招いてしまうでしょう。
またエンゲージメント向上やブランディングを目的とするなら、売上アップを目的とするライブコマースとは違うやり方をする必要があります。
最短距離で成功にたどり着くためには、以下の2点が重要です。
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とはいえ、ライブコマース成功のためにやることは多岐にわたります。ライブ配信の企画やキャスティング・撮影など押さえるべきポイントは数多く、自社ですべてをまかなうのは難しいかもしれません。
難しいからといって付け焼き刃で対策してしまうとかえって遠回りになる可能もあります。
必要に応じて支援サービスの利用もご検討下さい。早期にサポートや伴走支援を受ければその後自走するための知識や経験を得られます。
▼ライブコマースの導入から改善まで、課題に応じて支援いたします
日本でのライブコマース成功事例
それでは、ここからは日本における実際のライブコマース成功事例を紹介します。売上アップ以外の成功パターンも紹介しますので、自社の目指す方向性を探る際の参考にしてみてください。
ライブコマースで売上増加「ニトリホールディングス」
ニトリホールディングスの2023年3月期EC売上高は、前期比28.3%増となる911億円でした。この売上増加に寄与したのがライブコマースです。2023年3月期中に86回のライブコマースを実施し、視聴者数は累計で260万人を突破しました。
2024年3月期も引き続きライブコマースに注力しており、第3四半期累計(2023.4.1〜2023.12.31)のEC売上高は前期比105.3%の630億円です。ライブコマース視聴者数は、同期間で349万人となりました。ライブコマースに関わる人員を増加し、商品知識がある社員の出演やクーポン配布によって売上につなげた形です。
ニトリネット内の「ニトリLIVE」では、週に3〜4回ほど配信されています。
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上記のような定期的な配信に加え、コラボ配信や屋外イベントから生配信といった試みにも取り組みました。
また、ライブ配信のショート動画は各商品ページでポップアップ表示させています。同じく商品ページで確認できるアーカイブも含め、ライブ配信の二次利用で効果的に販売促進できている例だといえるでしょう。
参照:
株式会社ニトリホールディングス 2023年3月期 決算説明会
株式会社ニトリホールディングス 2024年3月期 第3四半期決算説明会
店舗と同様の接客でファンがついた「ユニクロ」
ユニクロは、2020年12月にライブコマース「UNIQLO LIVE STATION」をスタートさせています。2022年度(2022.9.1〜2023.8.31)は、年間累計視聴者数が1,000万人を突破しました。
ユニクロのライブコマースが好調な理由は、出演者である店舗スタッフと視聴者の双方向コミュニケーションです。視聴者の質問に答える形でスタッフが商品の提案・紹介をしていきます。
ライブコマース開始当初はスタイリストやモデルが出演していましたが、現在はより身近な存在であるユニクロの店舗スタッフがメイン出演者です。スタッフ個人に向けたコメントも多く寄せられており、各スタッフにファンがついていることがうかがえます。
ユニクロの事例は、「ライブコミュニケーション」でエンゲージメント向上をはかり、顧客のファン化を実現した成功事例のひとつです。
ユニクロは、「UNIQLO LIVE STATION」をライブコマースプラットフォームではなくオウンドメディアと定義しています。商品紹介だけに留まらず、ブランドアンバサダーのトークや活動紹介などさまざまなイベントを配信しています。
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2023年9月には、上記の取り組みが始まりました。
参照:ライブ配信メディア「UNIQLO LIVE STATION」年間累計視聴者数1,000万人突破 インバウンド向けや、47都道府県の各都市からの地域密着配信もスタート
専用スタジオと研修で美容部員が活躍する「花王」
花王は、ブランドとのエンゲージメント向上施策としてライブコマースに取り組んでいます。
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上記のように環境を整えたうえで、化粧品ブランドでライブコマースに関する研修を行いました。
そのライブコマーサー研修を担当したのがテイラーアップです。2ヶ月半に及ぶ研修期間で、美容部員やマーケターが各業務に応じた商品ストーリーを語れるようにアドバイスしました。
テイラーアップのライブコマーサー研修「LIVURU EDUCATION」では、「接客員のDX化」を掲げています。
化粧品は、触り心地や質感などのテクスチャー、香りといった売り場ならではの顧客体験が重要です。直接それらを伝えられないライブ配信だからこそ、映像の見せ方を工夫し、出演者がしっかり言語化して伝える必要があります。
研修で視聴者目線の見せ方を学ぶことで、1対多で視聴者の熱量を高められるデジタル接客が可能となります。花王は、2025年までに約5,500人の美容部員全員がデジタル接客を習得するための教育を推進しています。
具体的な数字で見るライブコマース成功事例
ライブコマースコンサルティングのリーディングカンパニーTailor Appは、これまで通算800件以上ライブコンサルティングとツールを提供しています。売上アップやエンゲージメント向上、OMO(オンラインとオフラインの融合)など、目的に応じた施策を実施してきました。
ここからは、具体的な数字を交えていくつかの成功事例をご紹介します。
【成功事例1.】ライブ総再生回数4万回突破した健康家電メーカー・A社様
新製品の認知拡大と購買を課題にライブコマースを実施した事例です。新商品のジューサーと親和性の高い料理家インフルエンサーを起用し、効果的にターゲット層を集客できました。
実際に商品を使いながらのライブ配信では、ライブ限定価格で購入できるクーポンを用意。SNS MA(マーケティングオートメーション)ツール「snsforce」を利用し、インスタライブでコメントした視聴者にインフルエンサーアカウントからクーポンDMを自動配信しました。
商品のジューサーは、クーポンを利用しても販売価格5万円台と低価格帯ではない商品ですが、ライブ視聴者に複数購入されました。ライブ配信は期間限定公開のアーカイブ含めて4万回再生され、1回のライブコマースで十分な成果を出しています。
【成功事例2.】コマース目的ではない配信で数十件のコンバージョン!B社様
地域の地産情報を発信するWebメディアを運営するB社様は、そこから派生する形で地元密着型のECを始めました。しかし、立ち上げたECショップは認知度が低いせいかなかなか購買に至りません。そこで、まずは認知度向上を図るためにライブ配信を制作しました。
ライブ配信には、有名な料理家をキャスティング。ECで販売している包丁や食料品を使った料理配信を行ったところ、1本1万円以上する包丁が数十件のコンバージョンを獲得しました。
職人の手作業で作られた包丁の素晴らしさを画像やテキストで伝えるのは難しいですが、動画なら切れ味が一目瞭然です。コマース目的でない配信にもかかわらず数十件売れるほど、ライブ配信で商品の魅力が伝わった好例です。
【成功事例3.】ライブコマースでの試着アイテムが完売・C社様
メンズ&レディース複合型セレクトショップを運営するC社様の課題は、インスタライブのやり方がわからないことでした。サイトコンテンツ拡充を目的としているため、1回配信して終わりというわけにもいきません。
ライブコマースの実施にあたって「やり方がわからない」とお悩みの場合、テイラーアップでは伴走型ライブコンサルティングでフルサポートいたします。
継続してライブコマースを実施していくために最適なやり方を提案したところ、店頭での配信時に紹介した試着アイテムが完売。その後はランディングページも制作し、配信回数を重ねるごとにコンテンツとして深みを増しています。
ライブコマースのやり方を把握して社内で自走できるようになり、今は毎週インスタライブを配信しています。
【成功事例4.】出演者が語り合うコンテンツ配信で視聴者数3万人を達成したD社様
D社様では、メイクアップブランドにて新商品の独自の強みや使い方に対する理解を深めたいと考えていました。そこで実施したのが、「ラメ好き女子」が語り合う女子トーク配信です。
最大4人が参加できるInstagramの「Live Rooms(ライブルーム)」機能を使い、自社の美容部門社員とメイク系インフルエンサーが同時配信しました。
100種類近くあるラメ入り商品から、なりたいイメージに合う商品を紹介したり、使用感を語ったりすることで、自然な形での商品PRが可能となりました。視聴者も含めて語り合うスタイルが好評で、配信中の視聴者数3万人を達成しています。
こういった「語り合う」系のコンテンツは他業種でも有効です。出演者に悩む場合は、テイラーアップで相談からアサインまで対応いたします。
【成功事例5.】ブランドファンを醸成し8割以上のポジティブコメントが寄せられたE社様
新製品の認知拡大と購買を目的とする場合、商品と親和性が高い出演者のキャスティングがライブコマース成功の鍵となります。
E社では化粧品ブランドのインスタライブ実施にあたってインフルエンサーと美容専門家を起用しました。商品との相性の良さもあり、インフルエンサーのフォロワーのうち、実に23%がアーカイブを含めた配信を視聴しています。
インスタライブにはコマース機能がないため、サイトへの誘導という課題があります。コメントに対する自動配信DMで購買導線を設計したことも、成功するための重要なポイントです。
配信には購買意欲に基づくポジティブなコメントが多数寄せられ、ライブコマースがブランドファンの醸成に寄与するという結果になりました。
事例から見るライブコマースの成功ポイント
日本での成功事例を参考にすると、いくつかの成功ポイントが見えてきます。
ここからは、自社でライブコマースを実施するにあたって、押さえておきたいポイントを紹介します。あわせて、具体的にどう進めればいいのかも解説しますので、ライブコマース実施時の参考にしてみてください。
きちんと伝えるための道標となる「企画・台本」
ライブコマースを実施しても、ただ単に商品を紹介していくだけではなかなか成果に結びつきません。
ライブコマースで成功するためには、ライブ配信自体の魅力やライブ配信中に購入するなんらかのメリットが必要です。値引きだけに頼るのではなく、限定感や特別感といったライブコマースで買う理由となる企画を考えます。
視聴者を惹きつけるために、あえて「売らない」配信も選択肢のひとつです。この場合は、商品の開発秘話やブランドコンセプトなど、ストーリーを伝える企画を考えてみましょう。
そして上記の企画意図を視聴者にしっかりと伝えるためには「台本」が必要です。視聴者とコミュニケーションをとりながら進めるライブ配信でも、台本がないと時間配分がうまくいかなかったり情報を伝え忘れたりしてしまいます。話すこと全てを網羅する必要はありませんが、大体の流れをつかめる台本は用意しておきましょう。
ライブコマースの企画・台本については以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご一読ください。
▼見られる!売れる!ライブコマースの企画内容
▼ライブコマースの台本って?台本が必要な理由とおすすめの構成を解説
ライブ配信でしっかり伝える「出演者」
インフルエンサーや専門分野で影響力のあるKOL(キーオピニオンリーダー)を起用すれば、知名度や人気に応じた集客が可能です。商品認知度が低く集客面に不安がある場合は、商品との親和性が高く影響力のある出演者を検討しましょう。
ただし、人気のある出演者をアサインすれば売れるわけではありません。双方向性のコミュニケーションが魅力のライブコマースでは、用意された台本どおりに喋るだけの配信では離脱されてしまったり、商品の良さが伝わらなかったりする可能性があります。
さらにライブコマースの出演者には、商品やサービスに対する疑問点や改善点をうまく引き出すことも求められます。知名度や人気だけでなく、その商品やジャンルに詳しい人を選びましょう。
ライブコマースの出演者については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
▼ライブコマースに出演する「コマーサー」「KOL」「インフルエンサー」の違いとは
ライブ配信で売ることに特化した人を「ライブコマーサー」と呼びます。社員をライブコマーサーに育てるのもひとつの方法です。
成功事例で紹介した3社は、どこも社員が出演していました。花王のように研修でデジタル接客を身につければ、ライブ配信だけでなくオンラインカウンセリングやオフラインでの接客にも応用が効きます。ライブコマースで重要なのは「伝える力」なので、ライブコマーサー研修は幅広い業務に活かせます。
▼ライブコマーサー研修「LIVURU EDUCATION」
1回の配信で終わらせないための「アーカイブ」
ライブコマースでは、アーカイブを残してライブが終わった後も配信を視聴できるようにしましょう。ライブ配信だけでは時間的なタイミングが合う人しか視聴できません。アーカイブが残れば、それだけ多くの人に見てもらえますし、リアルタイムで見た人も後から要点を確認できます。
企画を練る・台本を作る・出演者をキャスティングするなど、事前準備の多いライブコマースを、1回の配信で終わらせてしまうのは少々もったいないです。配信のクリエイティブはぜひ別のコンテンツに利用しましょう。
ニトリのように、ライブ配信のショート動画やアーカイブを商品ページに掲載するのもおすすめです。商品ページは画像とテキストだけなので、動的コンテンツを追加することでさらなる情報を伝えられます。
アーカイブやショート動画など、その後の利用も含めて考えるとライブコマースに対する予算感も変わります。かけられる予算が増えれば、より成果につながるライブコマースを実現できるでしょう。
さまざまな場面で改善できる「分析」
ライブコマースは、商品やサービスに対する顧客のリアルな声を聴けるのも大きなメリットです。
冒頭でお伝えしたように、日本のライブコマースにはさまざまな成功パターンがあります。単発の売上だけに着目していると成果を見逃してしまうかもしれません。例えば「顧客エンゲージメント」などは変化が即数字に現れるわけではないため、長期的な分析と改善を続けることが大切です。
配信して終わりではなく、コメント数や視聴者数といった定量データおよびコメント内容などの定性データ分析し、商品企画やカスタマーサービスなど、さまざまな場で活かしましょう。
配信後の振り返りやPDCAの回し方、分析については、以下の記事でも紹介しています。
▼ライブコマースは継続開催がカギ!配信後の振り返りと改善で次に活かす方法を解説
このように、ライブコマースにおいて分析は重要な工程です。しかし、企業の8割がライブコマースに利用しているインスタライブは、視聴者数やコメントなどのデータが残りません。インスタライブを行うならテイラーアップのツール「snsforce」をおすすめします。コメントしたフォロワーやコメント内容など全てのライブデータがシステム上に蓄積されるため、消費者の希望に沿った展開が可能です。
▼顧客の声を分析して購買につなげる「snsforce」
ノウハウ構築にも役立つ「外注」
ライブコマースというとライブ配信に意識が行きがちですが、準備の段階でもやることが数多くあります。ライブ配信自体を面白くする企画や売上げにつなげるEC環境など、やること・決めることが多岐にわたります。
ライブコマースの始め方・流れについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
▼【ゼロから始めるライブコマース】企業が知っておきたい基本と導入ステップ|ライブコマースの始め方~準備と配信方法
とはいえ、知識もノウハウもない状態では間違ったやり方で遠回りしてしまう可能性もあります。現状で足りない部分は、外注したりパートナー企業を見つけたりすることも有効な方法です。
特に、これからライブコマースを始める段階では、長期的な人的リソースや予算を割けないかもしれません。最初は外注化してノウハウ構築を目指せば最短距離で進めます。LIVURUなどの支援サービスをうまく活用して、早い段階で成果を出せる仕組みを作りましょう。
出演を依頼する配信者事務所やライブ制作支援など、ライブコマースに関する支援サービスは以下の記事で詳しく紹介しています。
▼ライブコマース支援サービス比較【2024年度最新版】
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上記のようなお悩みがある場合は、戦略型ライブコマース「LIVURU(ライブル)」による総合的な伴走支援がおすすめです。商品だけ用意すれば企画作りから現場ディレクションまで全てお任せいただけます。キャスティングや集客など、部分的なサポートも可能です。
▼数字を右肩上がりに変える「LIVURU」
成功事例を「分析」し、大きな成功を自社で再現
日本でも数多くのライブコマース成功事例があります。ただし、事業規模や投下できるリソースに違いがあるため、そのまま再現できるわけではありません。事例を参考にした成功ポイントを押さえ、自社で成功できる仕組みを作りましょう。
日本でのライブコマースの効果は単純な売上だけでは図れません。さまざまな成功パターンがあり、中には効果が見えにくいケースもあります。
効果を実感するには、ライブコマース実施後の定量データと定性データの分析が重要です。コメントの数やコメントの質でライブ配信の出来を精査し、エンゲージメントやブランディングの視点でも効果測定してみましょう。
PDCAを回しながら改善し、質の高いライブコマースを実施し続けることが大きな成功体験につながります。
再現性を高めるノウハウを持つテイラーアップの「snsforce」「LIVURU」なら、最短距離で成功にたどり着けます。
通常なら消えてしまうインスタライブのデータを有効活用したいなら、snsforceがおすすめです。視聴者数やコメント数、コメントしたフォロワーなど、マーケティングにも活かせるデータをシステム上に蓄積できます。
また、紹介した成功事例にもあったように、コメントに対するDMの自動送付も可能です。購入意欲が高まっているときにDMが届くので、売上アップやエンゲージメント向上が期待できます。
▼広告なしで売上を伸ばす仕組みを作る「snsforce」
やり方がわからない、成果が出なかったなどのお悩みなら、LIVURUがおすすめです。設計から配信までワンストップで任せられますので、ライブコマースで困っていることを根本から解決します。
商品だけ用意して全て任せるのも自走化するまでの仕組み作りもお好み次第です。貴社の状況に合わせてサポートいたします。
▼ライブコマースの困りごとを解決できる「LIVURU」